[セントラルブログ-お役立ち業務日誌-]
今年度(令和4年)は、育児介護休業法が、段階的に改正されるのは周知の事実ですが、それに伴い実務上のお問い合わせが例年になく多くなっています。具体的な内容についてみていきたいと思います。
男性の育児休業取得の相談は年々増加しています。この傾向は企業規模に関係ありません。さて、男性の育児休業は、女性と同じく、原則として子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間ですが、本年10月1日の改正で、出産した女性の産後休暇期間について、主に男性が取得することになる出生時育児休業制度が設けられます。この制度は、子の出生後8週間以内に4週間(28日)を上限に、分割して2回まで育児休業の取得を可能にするものですが、男性の育児休業は、配偶者が退院してきた時期に一緒に過ごしたいというニーズによる取得が多いことから、新たな制度を利用する男性従業員の増加が見込まれます。企業としても、制度利用を積極的に促すことにより、“職場の定着率向上、従業員のモチベーションアップ、採用活動時のアピールポイント”として企業価値の向上に寄与するものとして考えていくとよいでしょう。
育児休業は子が1歳になるまでですが、保育所に入所できない等の事情がある場合、延長ができます。その際に子が1歳になる前までに市役所等で保育所の入所手続きを完了していないと延長ができませんが、その手続きをされていない・不備があるケースが散見されます。特に外国人の従業員に多くありますので、あらかじめ説明・相談をすることが重要になります。
最近は夫婦共働き世代が増加していますが、父母同時に育児休業の取得が可能かどうかについて、お問い合わせをいただくことがありますが、父母同時取得は可能です。今後、父母同時取得の相談は増えてくるものと思われます。
介護休業は、その名のとおり介護が必要なご家族がある場合に休業できる制度です。介護保険による介護認定は必要ありません。最大93日(3回分割)取得できます。近年は親御さんの介護により優秀な従業員が退職することも少なくありません。これらを防止し、労使共々ウィンウインの関係にするためにも介護休業を周知・利用することが重要になってきています。
年齢的に働き盛り(40代~50代)の従業員に介護離職問題が発生しやすいといえます。中小企業では、一人の従業員の離脱で事業が回らなくなる可能性があります。この問題は社内でコミュニケーションが取れているかどうかで深刻度が変わります。業務体制・制度構築・働き方など社内体制を見直すキッカケにもなります。
育児休業・介護休業中は無給になることが通常です。そこで従業員への所得補償として公的な給付金があります。こちらは事業所がハローワークに申請をします。また、育児休業中のみですが、社会保険料の免除(労使共々)もありますので年金事務所へ申請を行います。
育児休業または介護休業を取得予定の従業員がいる場合、事業所に対する助成金を利用できる場合があります。休業に入る前に必須な手続きがありますが、難しいものではありません。併せてご検討されることをお勧めいたします。