試用期間の正しい運用とミスマッチを防ぎ戦力化するためのポイント
規採用者が自社に適しているかを見極める制度が「試用期間」です。多くの企業で導入されていますが、単なる「お試し期間」と安易に考えていると、思わぬ労働トラブルや早期離職を招くリスクがあります。
本記事では、人事担当者が押さえておくべき法的ルールと、新入社員を早期に戦力化するための実務上のコツを解説します。
試用期間の基本ルールと法的性質
試用期間は、法律用語では「解約権留保付労働契約」と呼ばれます。これは使用者の解約権が留保された労働契約と解されていまして、判例においても採用の当初に労働者の適格性を判断する十分な資料を収集できないために、後日の調査や観察に基づく最終的な決定を留保する趣旨で、合理的な期間にわたり解約権を留保することは合理性を有するとされています。
主な目的としては、 面接だけでは分からない実務能力、適性、勤務態度などを実際の業務を通じて見極めることにあります。期間については一般的に3〜6ヶ月程度に設定する企業が多いです。法律上の制限はありませんが、公序良俗に反するような長すぎる設定(1年など)は無効とされる可能性があります。
労働保険・社会保険の手続きは試用期間中であっても、入社日からの加入が原則となります。年次有給休暇も入社日から6ヶ月継続勤務し、出勤率が8割を超えれば、付与する義務が発生します。
実務で注意すべき3つの重要ポイント
① 「いつでも解雇できる」という誤解
「14日以内なら自由に解雇できる」という解釈は誤りです。労働基準法では、入社14日以内であれば解雇予告の手続き(30日前の予告または手当の支払い)が不要とされているだけで、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。
② 評価基準の明確化
ミスマッチを防ぐためには、試用期間終了時に何を基準に判断するのかを事前に本人へ共有しておくことが不可欠です。(下記ご参考)
スキル面: どの程度の業務を独力でこなせるか
マインド面: 会社のバリューや文化に適合しているか
勤怠面: 遅刻・欠席の状況や勤務態度
③ フィードバック面談の重要性
期間の終了間際に「不採用」を伝えるのはトラブルの元です。定期的に面談を行い、課題がある場合は「具体的な改善指導」を行い、その記録を必ず残しておくことが重要になります。
試用期間を「見極め」から「育成」の場へ
従業員が独り立ちして成果を出せるようになるまでの包括的な支援(職場への適応、人間関係の構築、企業文化の理解、業務スキルの習得など)を行い、早期に馴染める環境を作ることが職場定着に繋がります。
また、試用期間は企業側が選別するだけでなく、従業員側が会社を見極める期間でもあります。
この制度を適切に運用することは、企業と労働者双方の幸福につながります。ルールを遵守しつつ、定着率向上に向けた前向きな制度として活用していきましょう。
